胸郭出口症候群(TOS)

横浜駅程近い会社勤務の女性が2週間前から右腕全体の痺れを感じる様になり、来院した。馬車道にあるSpineカイロプラクティックには初めての来院だが、以前に私が勤務していたカイロプラクティック治療院にて担当した経緯があり、過去の施術(その時は腰部に症状を持っていた)経験から、病院に行くよりも整体やカイロを受けた方が良いというご自身の判断のもと、スパインカイロプラクティックを検索してご来院いただいた。

2週間の間は以前病院にて処方を受けていたロキソニン(消炎鎮痛剤)&メチコバール(末梢神経障害治療薬)があったため、それを飲んでいた。薬の服用による症状の緩和はみられ、しびれ感が強くなると薬を服用して凌いでいたが、効能が切れると症状の頻度などが強くなるため根本的な改善ができないかと思い、以前施術で効果を感じた私を頼って馬車地に開いたSpineカイロプラクティック整体院へご来院いただいた。


【検査内容】

問診:腕の痺れは気がつくと感じる様になって、日に日に頻度が多くなり全体に広がってくる様になった。最初は仕事の疲れかな?と思って腕を揉んだりしていたが、数日後から強くなってきたため不安になり、以前処方を受けて余っていた薬の服用をした。痺れの症状が頻発するようになった辺りから、左手に比べると右手の方が冷たく感じるようにもなった。薬を飲むと痺れ感は少し治るので安心したらまた症状を感じ、薬を服用・症状・薬と言ったように、改善の兆しがなかったため私の名前を検索し今回来院につながった。

視診:視診上問題なし。

スタティックパルペーション(静的触診)

右頚部から上部僧帽筋および胸鎖乳突筋の筋緊張が認められた。右上腕から前腕部の緊張も左右比較により認められる。

モーションパルペーション(動的触診)

首の左回旋時に右腕の痺れがやや強くなる。胸の筋肉をストレッチする方向に腕を持っていくと痺れが大きくなる。

オーソペディックス(整形学検査法)

モーリーテスト:(+)首前側の斜角筋という筋肉絞扼障害検査

アドソンテスト:(+)同上

コストクラヴィキュラーマニューバー:(ー)肋骨と鎖骨部での神経絞扼検査

ライトテスト:(+)胸の筋肉による神経絞扼障害検査

筋力検査

特に行わず


【施術内容】

問診・検査の内容から、この方の症状は胸郭出口症候群と考えられた。カイロプラクティック治療では腕に分布する神経の絞扼がどこで起こっているか?を判断し、神経の流れ(神経伝達)の正常化を図るために、頚部から腕にいく神経を絞扼し得るメインの筋肉(この方の場合首の深い筋肉である斜角筋と胸の筋肉である小胸筋部の緊張が原因)の緊張緩和と筋膜性の関連痛の可能性も併発しやすいため筋膜リリースを行なった。

また頚部回旋時に可動域制限(左に回りづらい)の原因である第4〜第6までの頚椎に対して頚椎のアジャストメントを行なった。

施術後の痺れはまだ残っていたが、全体的な痺れ感の緩和及び首を左に回しやすくなったので初回の施術は終了し、5日後に再度来院してもらうことになった。


【施術予後】

2回目:初回施術後から2日くらいは少し和らいでいたが、それ以降は同様な強さの症状に戻っていた。

経過を踏まえ、施術は初回同様の内容に加え肩関節に対しても行なった。肩関節前方変異(巻き肩)傾向であったため胸筋群緊張による神経絞扼の可能性を考慮して施術を施した。

1週間後の来院を予定してもった。

3回目:初回に比べて2回目の施術は効果が持続し、1週間後でも初回の症状を10としたら半分以下の4程度に収まっていた。2回目と同じ施術を行い、間隔を10日に広げた。また手の冷えに関してはその後比較的落ち着いていた。

4回目:間隔が開くと症状は少し強まるが、それでも当初に比べると痺れの強度は元より範囲が狭くなった。冷えに関しては全く感じなくなっていた。

施術内容は同様の施術を継続的に行うとともに、症状緩和が見られるので腕全体(上腕・前腕)に施術範囲を広げた。

2週間の間隔を空け経過観察をしてもらうことにした。

5回目:2週間経ってもほぼ症状がなくなり、「気にすると少し感じるかな?でも他に気を取られると忘れています笑」と言った報告とともに患者の笑顔が見られたので安心した。

カイロプラクティック治療としてのセッションは終了した。患者の意向によりその後は月に一回のメンテナンス期に移行し、現在は再発予防と仕事の疲れを月に一回取り除くために来院している。


【施術者の見解】

腕の痺れを主とする胸郭出口症候群は主に三つの部位での神経絞扼によって起こる症状である。

1.斜角筋症候群:首全面にある筋肉で、頸脊髄神経から左右の腕に枝分かれした直後にこの筋肉の下を通過して胸部に神経分布する。この筋群の緊張による神経絞扼は腕の痺れの症状の代表的です。

2.肋鎖症候群:腕の神経は首から出た後に鎖骨の真下を通過する。この鎖骨が何かしらの要因により下方に下がることによる神経絞扼。一般的には起こりづらいが、鎖骨骨折を経験後に起こる場合があります。

3.小胸筋症候群:胸の筋肉の過緊張によって腕にいく前の神経が絞扼を起こす。デスクワークなどで巻き肩になっているなどで胸筋の緊張が更新し、神経絞扼を起こす可能性がある。また別名過外転症候群と呼ばれ、腕を横から上げるような動作をするときに障害を受けやすいのですが、日常的な動作としては電車の吊革に捕まる・洗濯物を干す・窓拭きをするなどの動作で発症しやすい部位です。

この方は上記症状のうち、斜角筋症候群と小胸筋症候群の合併で胸郭出口症候群(TOS)を発症していたと考えられます。

首から支配している腕へ神経分布する経路上での上記筋群の緊張が引き起こすので、適切な筋緩和を行えば一時的に楽になりますが、その状態を維持するためにも筋肉が付着する骨格の状態を改善しなければ根本的な改善には繋がりません。

また、日常生活での負担の偏り(この方は左側には問題無く、右のみに出るということは身体の使い方のクセがあります)に根本的な原因があるので習慣の見直しもアドバイスしていきました。

スパインカイロプラクティックでは、環境因子も考慮して常に施術にあたっており、積極的に環境改善を実践していただけたことが回復につながったと思われる症例です。横浜駅での勤務だったので馬車道は近く、過去の経験から再度ご来院いただけたことは嬉しいのです。

当院では癒しとしてではなく日常生活に直結する筋骨格に由来する様々な症状に対応しています。馬車道駅徒歩1分・日本大通り駅徒歩8分・JR関内駅徒歩7分・JR桜木町駅徒歩12分にあります。

横浜周辺にお住まいお勤めの方で上記症状にお悩みの方は当院スパインカイロプラクティック(整体院)にお越しください。誠心誠意対応させていただきます。