バスケットボール中の転倒後から、首を動かすと左頚部に痛みが出るようになった10代男性

学校の部活動でバスケットボールをしている際に転倒し、その際に首を捻ったことをきっかけに、左頚部に痛みと違和感を感じるようになった10代男性の症例です。

特に、左後方を振り向くように首を回旋した際に左頚部に痛みを感じる状態でした。

また、朝起きた際には左頚部の緊張が強く感じられ、毎朝ベッドから起き上がる際にも首に痛みが出ると訴えていました。


【検査内容】

問診

患者は学校の部活動と外部のクラブチームで約2年間バスケットボールを続けており、これまでスポーツによって身体のどこかに痛みが出るような経験はありませんでした。

今回の受傷後、念のため数日後に母親と病院を受診しました。レントゲン検査では特に異常は認められず、「数日すれば治るでしょう」と説明され、湿布を処方されました。

しかし、その後約2週間様子を見ても症状の改善がみられませんでした。

これ以上病院を受診しても同じような対応になるのではないかと考えていたところ、以前に父親が当院を受診した経験があり、「良かった」と話していたことから、今回は母親の判断で息子さんを連れて来院されました。

視診

安静時の外観上、明らかな異常は認められませんでした。

極端な左右の肩の高さの違いや頚部の傾き、痛みを避けるような姿勢などもみられず、安静時に強い疼痛が出ている状態ではないと判断しました。

スタティックパルペーション(静的触診)

左頚部の頚板状筋・頭板状筋などに軽度の筋緊張が認められましたが、左右差は大きくありませんでした。

モーションパルペーション(動的触診)

頚部を左回旋した際に、疼痛と可動域制限が確認されました。

また、患者自身が力を抜いた状態で術者が頚部を動かす他動検査においても、同様の疼痛が誘発されました。

自動運動だけでなく他動運動でも同じ部位に痛みが誘発されたことは、今回の症状を評価するうえで重要な所見でした。

オーソペディックス(整形学的検査)

  • サービカルコンプレッションテスト:陽性(左C5付近に疼痛誘発)
  • バレリューテスト:陰性(血管系のリスクを評価する一環として実施)

今回の症例はスポーツ中の転倒後に発症した頚部痛であったため、筋肉や関節だけでなく、頚部血管系の危険因子についても考慮しました。

特に頚部痛の評価では、まれではあるものの、椎骨動脈や内頚動脈を含む頚部血管の病態を見逃さないことが重要です。頚部血管系の問題が疑われる場合には、カイロプラクティックによる頚椎へのアジャストメントを行わず、必要に応じて医療機関での精査を優先します。

今回は問診および身体所見から重大な血管系の危険徴候を示す所見は認められず、バレリューテストも陰性でした。

ただし、バレリューテストなどの体位性テスト単独で頚部血管病変の有無やアジャストメントの安全性を判断することはできません。そのため、今回も検査結果だけではなく、受傷機転、症状の経過、問診、神経学的所見などを総合的に評価したうえで、施術の適応を判断しました。

筋力検査

僧帽筋、胸鎖乳突筋、斜角筋などに明らかな筋力低下は認められませんでした。

ただし、検査姿勢を取ることで疼痛が誘発される状態でした。


【施術内容】

検査結果から、今回の症状はC4-C5間の椎間関節の機能障害が関与した頚椎椎間関節症候群の可能性が高いと考えました。

今回、椎間関節由来の疼痛を強く疑った主な理由は以下の通りです。

  • 他動運動でも疼痛が明確に誘発されたこと
  • 疼痛部位が比較的限局していたこと
  • 特定の可動域・方向、特に左回旋で疼痛が誘発されたこと
  • 筋力検査では明らかな筋力低下が認められなかったこと

これらの所見を総合的に評価し、今回の症状では椎間関節の機能障害が主な要因である可能性が高いと判断しました。

また、患者の年齢や症状の経過、検査所見などを総合すると、適切な関節調整によって比較的早期に改善する可能性が高いと考え、その見通しについて患者にも説明しました。

筋肉を「緩めすぎない」という考え方

施術では、疼痛部周囲の筋群に対して必要最小限の筋緊張緩和を行い、筋肉を過度に緩めることは避けました。

これは、筋肉には単に「硬いから緩めればよい」というものではなく、頭部を支え、重力に対抗して頚椎を安定させるという重要な役割があるためです。

筋緊張が過剰であれば適切に緩和する必要がありますが、必要な筋緊張まで取り除いてしまうことが、必ずしも身体にとって良いとは限りません。

今回は、頚部周囲の筋肉を適切な範囲で緩和したうえで、C4-C5間に対してアジャストメントを行いました。

施術時間は約30分でした。


【施術予後】

初回の施術後、左後方を振り向く動作を痛みなく、スムーズに行えるようになりました。

施術後の状態を確認したうえで、その日の施術を終了し、しばらく様子を見てもらうことにしました。

翌週、父親がメンテナンスのため来院された際に息子さんの状態を確認したところ、施術後は首の痛みや違和感を訴えることなく、日常生活を送れているとのことでした。

その後も症状の再発はなく、今回の症例では1回の施術で経過を終了することができました。


【施術者の見解】

今回の症例では、バスケットボール中の転倒をきっかけに、左回旋など特定の頚部運動で痛みが誘発される状態が続いていました。

検査では筋力に明らかな問題はなく、特定の方向への運動と他動運動で疼痛が再現されるなど、頚椎椎間関節の機能障害を疑わせる所見が確認されました。

また、頚部外傷後の症例であることを考慮し、施術前には血管系を含めた危険因子についても評価しました。

カイロプラクティックによる頚部へのアジャストメントは、すべての頚部痛に適応するわけではありません。

特にスポーツ中の転倒や衝突などをきっかけとした頚部痛では、まず受傷の程度や症状、神経学的所見、血管系の危険徴候などを確認し、カイロプラクティックによる施術が適応となる状態なのか、それとも医療機関での診察や検査を優先すべき状態なのかを判断することが重要です。頚部血管病変はまれではあるものの重大な状態となり得るため、単一の検査だけに頼らず、総合的な臨床判断が求められます。

今回の症例では、これらの点を考慮したうえで椎間関節の機能障害が関与している可能性が高いと判断し、C4-C5間のアジャストメントを行いました。

その結果、施術直後から左後方を振り向く動作がスムーズになり、疼痛も消失しました。その後も症状の再発がなかったことから、今回は1回の施術で終了となりました。

この症例からも、首の痛みに対して単純に筋肉を緩めたり、首を動かしたりするのではなく、その症状が何によって起こっているのか、そしてカイロプラクティックによる施術が適応となるのかを見極めることが重要だと考えています。

また、反対に「首の骨をボキボキすれば良くなる」という考え方も適切ではありません。

重要なのは、症状と検査結果からカイロプラクティックによる施術の適応を判断し、少しでも重大な疾患や外傷が疑われる場合には施術を行わず、医療機関での診察を勧めることです。

今回の症例は、スポーツ中の転倒後に発生した頚部痛に対して、症状と検査結果を総合的に評価し、施術の適応を慎重に判断したうえでアジャストメントを行った結果、1回の施術で症状の改善が確認された症例です。

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Spine Chiropracticは横浜中心部に位置し、馬車道駅から徒歩1分、日本大通り駅から徒歩8分、JR関内駅から徒歩7分、JR桜木町駅から徒歩12分と、アクセスに便利な立地です。横浜エリアにお住まいの方やお勤めの方はもちろん、英語対応可能なカイロプラクターをお探しの海外の患者様にもご利用いただきやすい環境です。

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