横浜市関内在住の20代女性が右手親指付け根の痛みで来院
20代女性が子供を出産後しばらくしてから右手親指の付け根に痛みを訴える様になった。
最初は違和感があるくらいであったが1週間もしないうちに痛みが強くなり、病院を受診した。整形外科の先生からは「ドケルバン症=親指の腱が炎症を起こしている状態なので、炎症を抑えるお薬を出しておきましょう。また翌週来てください。」と伝えられ、様子を見たが改善していなかったため再受診の際にそのことを伝え、サポーターとエクササイズを教えられて様子を見る事になった。
その後3回(計5回)受診し、ステロイド注射を受けて痛みが劇的に改善したが、1月する間に再発し、また注射を受けて1月後に…という経過で、手を使うとやはり痛みが強くでるため、ネットで症状に関して検索していたところ、当院の「手首の痛み」という症例にヒットし、試してみようと思い来院した。
【検査内容】
問診:子育て期間中で、どうしても子供を抱っこしたりしなければならず、その度に手首に激痛を感じるので精神的にも参っているとのことであった。料理でフライパンを使ったり包丁を使ったりするのも痛く、サポーターと痛み止めでなんとか日々を乗り切っているとのことであった。
病院での治療で改善するが、維持することが難しいとのことで、子育て期間中とのこともあり、精神的にも疲労している様子だったため、根本的な改善が望まれる症例であった。
視診:視診上の問題は特になし。
スタティックパルペーション(静的触診):
親指の腱を触診時に圧痛が見られる。
触診上左右を比べると右母子のみではなく右側前腕が全体的に緊張が高くなっていた。
右母指球筋の緊張も高かった。
モーションパルペーション(動的触診):
母子をあげる動作よりも下げる動作(内側に入れる動作)の方が痛みを感じている。
親指側の手根関節=舟状骨・大菱形骨の位置がズレていた。
オーソペディックス(整形学検査法):
該当する検査法はなし。
筋力検査:
母子伸筋腱=痛みのため測定不可
母子屈筋=やや痛みがあるが力は発揮できた。正し、親指を曲げる動作自体痛みが強い。
【施術内容】
施術中に痛みの誘発が強かったため、初回では保存療法的な施術がメインであった。
具体的には超音波療法を選択。抗炎症効果を考慮したプログラムで行った。
根本的に炎症を起こしてしまっている原因を取り除くことが主となる施術法だが、原因に対するアプローチをする前に、母子腱部の炎症を抑制することをしなければ施術後に悪化する可能性があるためだ。
初回の施術は、炎症抑制と前腕と親指につながる筋肉の柔軟性をつけていくを主軸にした。施術終了後に、腱への負担をかけない様にするためにテーピングを施し3〜4日様子を見て再来院してもらうこととなった。
【施術予後】
2回目:4日後に来院してもらった。状態を聞くと、
患者「痛みはまだあります。でも強さが少し和らいでいる感じがします」
私「10が最初の痛みだとしたらいくつくらいに下がっていますか?」
患者「7くらい?かなぁ。でも2日間くらいは5でした」
とのことであった。この経過から抗炎症と前腕の筋群の柔軟性をつけていく事は必要だと考え、同じ施術を施して、今度は1週間開けて様子を見てもらった。
3回目:やはり2〜3日は軽減していたが、その後は初診と同程度の痛みに戻っていた。2回の施術で悪化の有無の確認ができたため、根本的な部分である手根関節の位置関係の改善を行なっていった。施術後は関節の位置が戻らないようにテーピング固定を施した。
4回目:1週間後の来院。施術後はかなり楽な状態が作られており、テーピングも自宅で行う様にしてもらっていた影響もあり、来院時は「痛みが半分以下で今週は過ごせました」とのことであった。
診察数日後に病院で治療も受けるので、次回は1ヶ月後に来院する事になった。
5回目:子供の体重が重くなってきた影響もあるのか、1ヶ月経つとまだ痛みが出るが、当初よりかなり軽減した状態で維持できているとのことであった。
施術では前腕・手掌/手背筋群を緩めること、手根関節の位置改善(2週間経過するとズレが生じる)➕肘関節の施術(手に行く組織は肘を通過するため)を新たに加えた。
アドバイスとして握る側の筋群を鍛えてもらう。(指を曲げる筋肉と伸ばす筋肉は逆の働きのため、曲げる筋肉を使うと伸ばす筋肉が抑制されるという特性を利用する=拮抗抑制作用)
本などを指先で挟んで維持するブックホールド:20秒1セット=3セット
床や机など平たい面を指だけで掴む体操:20回1セット=3セット
これらの運動をしっかりしてもらう様に指導
6回目:1ヶ月後の来院。前回施術後はいつも通り楽な状態になっていた。この1ヶ月指導したトレーニングを毎日行なっていたため、痛みがほぼ無い状態で過ごせた。
現在は手首の痛みはほぼ消失し、病院への通院も止めリストバンドもせずに過ごせている。
メンテナンスで月一回全体的なケアを行なっている。
【施術者の見解】
ドケルバン症は年齢性別関係なく煩う可能性がある症状です。しかし、一般的に女性の発症率が高く、妊娠中や子育て期間中の方の発症が多い傾向にあります。
理由としては、男性に比べると筋量が少ないのに子供を抱き上げる、料理などで酷使する、妊娠中であれば体重増加に伴って椅子から立ち上がるなどの動作の時に手を付いて立ち上がるなどの動作を繰り返すことによって手首への負担が増加します。
ドケルバン症もその様な手首を酷使する環境にある中で発症しやすい症状の一つです。
今回の症例も例外無くその様な生活的環境因子が引き金になった症状でした。この方の場合ドケルバンを発症する要因として、手根関節を構成する舟状骨と大菱形骨の関節位置関係が異常を起こしていたために母子外転筋・伸筋にストレスをかけ続けていたことが原因でした。
病院で腱の炎症を抑えても、炎症を起こす根本的な原因の改善に至っていなかったため再発を繰り返してしまっていた症状でした。
関節の位置関係がこの様な症状の根本原因になっていることが少なくないため、スパインでのジョイントモーション理論が有効な改善手段となった症例でした。
しかし、根本的には子育てなど長期的なスパンで負担がかかる事象が原因のため、筋力強化が必要であった。(子育てを控える様にすることはできないため、自分が強くなる必要がある)
当院では癒しとしてではなく日常生活に直結する筋骨格に由来する様々な症状に対応するカイロプラクティック(整体)を提供しています。馬車道駅徒歩1分・日本大通り駅徒歩8分・JR関内駅徒歩7分・JR桜木町駅徒歩12分にあります。横浜駅から京浜東北線・ブルーライン・みなとみらい線でのアクセスが便利です。
横浜周辺にお住まいお勤めの方で上記症状にお悩みの方は当院スパインカイロプラクティック(整体院)にお越しください。誠心誠意対応させていただきます。