長年続く肩から首にかけての不快感

40代馬車道在住の会社員女性が慢性的な肩こりから首の痛みを訴えて来院した。症状は10年以上前から感じてはいたが、近年のテレワークによって耐え難いほどの痛みと不快感を訴えており、夜中も起きてしまう時があるほど辛くなったため来院した。

明確には2年前ぐらいから症状が辛くなってきており、その都度マッサージや整体・カイロプラクティックに通ったりしていた。1回で行かなくなった所もあれば数回通った所もあるとの事であったが、よく持って数日ということを繰り返した。その中でもカイロプラクティックは比較的長持ちしたのでしばらく定期的に通っていたが、それでも一定のところで改善が見られなくなる。今回もそのような事情から、違うカイロを試してみようということで自宅周辺で新しく開院したコチラのクリニックに来院したと正直に話してくれた。


【初見の症状】

問診:肩から首筋にかけての慢性的な痛み。仕事中は背中から肩甲骨にかけてもコリ感が広がるため、肩や首を回すなどをしてその場を凌いでいる。症状はどちらかと言うと右側が強い(比率としては7:3)少し動かしたりすると楽にはなり、外に出かけたりすると気になることは少ない。(外食時などはやはり気になってしまい、席で首などを回しているとパートナーに「落ち着きがない」と言われる事がよくあるとの事だった)痺れや頭痛などの症状は出ないとの事であった。

視診:立位時・後方視診ではやや右肩の挙上が見られる。側方視診では首がやや前傾している、肩が前に巻き肩になっており、胸椎後弯増加(背中部分の背骨の丸さ)が見られた。座位の時はその状態がより強調されたことから、デスクワーク時などの不良姿勢による負担はかなり増加するであろうと予測できる。

スタティックパルペーション(静的触診):表層筋である僧帽筋の緊張は当然だが、深層筋である肩甲挙筋・板状筋群・胸鎖乳突筋(鎖骨頭が特に)の緊張が見られた。

モーションパルペーション(動的触診):頚部可動域は右回旋に制限がややあるが、痛みの誘発などは診られない。屈曲伸展時制限もなく可動域は正常値であった。側屈動作では右側屈に制限が診られた。右肩関節挙上時に、痛みではないが肩が張る感じが出ると訴えていた。

オーソペディックス(整形学検査法):サービカルコンプレッション・ディストラクション(ー)/モーリーテスト(ー)ネガティブだが圧痛あり/バレリューテスト(ー)


【施術内容】

検査からリスクマネージメントは低いとの判断であったためアクティブトリートメントを実践。最初に首から背中にかけての筋群の緩和操作(STT)を行ない、症状を出している原因筋を緩めた。その後主訴の首と肩に負担をかけない良い姿勢の維持をしやすいようにするために、姿勢に関連する筋群の調整を行った。

しかし、根本的には姿勢や運動・体勢維持に働く筋群は関節に付着するため、骨格位置や関節可動域の改善といった手法を用いなければ根本改善には繋がらないため、関節に対するアプローチ(カイロプラクティックでは矯正=アジャストメント・可動性改善=モビリゼーションと言います)を行う。

  • 頚椎前弯消失傾向だったため、頚椎湾曲を付けるための頚椎モビリゼーション・C3/C4とC6/C7に対するアジャストメントを行なった。
  • 肩関節が前方変異していたため肩関節調整を行い、肩鎖関節/胸鎖関節のアジャストメントを行う。
  • 肩甲胸郭関節(肩甲骨と肋骨)での外転変異(外側に肩甲骨が流れている)=肩関節が前に出て巻き肩になると言う状態が起こるため、肩甲骨を外転させる作用のある筋群を緩和操作し、右第6/7肋骨の後方変異が診られたためその部位をアジャストメントにて修正。

【治療予後】

  • 初回:施術後の状態はかなり良好で、肩と首が軽くなっただけでなく姿勢が良くなったと言っていた。
  • 2回目(1週間後):前回治療直後に比べて戻ってきているが、10がMAXだとすると6ぐらいだと言っていた
  • 3回目(10日後):2回目の施術で更に良くなり、10日経っても症状指数は半分以下3程度になっているとの事だった。
  • 4回目(2週間後):仕事も忙しかったが、私が伝えていたエクササイズをしつつ前回と同じくらいになっており、施術を開けていっても良いと判断。
  • 5回目以降(月に1回):本人の希望によりメンテナンス期に移行。現在は1月に1回の予防的な施術でだいぶ持つようになっている。

【施術者の見解】

この方の症状は典型的な慢性肩こりでした。筋肉の緊張によって起こっている、ある種単純な症状にお困りだったので、順調に回数を重ねることによって症状の改善ができました。

しかし、では今までも通っていた事があったのに何故持たなかったのでしょうか?話を聞くと、私の行なってきた施術の着眼点が全然違っていたと言うことでした。

今までは筋肉の柔軟性をつける=コリをほぐすという事をメインで行っていたため、関節から改善していくという考え方が新しかったと言うことでした。私の説明にも真摯に耳を傾けて聞いていただいていたことから、本当にお困りで改善させたい、症状を出さないようにしたい、と言う気持ちが伝わってきていました。

症状は一般的に多くの方が感じている症状ですが、慢性的な症状ほど生活習慣に強く密着しているため、根本をいかに早く見つけ出していくか?と言うことが大事になってくるかと思います。そのような観点から、現代社会で最も発症しやすいパターンでした。デスクワークは元より、コロナ流行以降在宅勤務が多くなったことによって、より動かなくなる=筋伸縮の低下・血流の低下=慢性的な症状の発症に繋がっています。

具体的な問題点

  • 頚椎C4〜C6間の稼働制限及び右後側方変異
  • 頚部全体の前弯消失(ストレートネック)
  • 右肩甲骨挙上/外転(肩甲挙筋・小菱形筋・棘下筋・肩甲下筋の過緊張)
  • 右第5〜7肋骨後方変異
  • 右肩関節前方変異(大・小胸筋過緊張)

更に、慢性的な症状を放置してしまうことによってステージが上がりぎっくり腰や寝違えなどの急性症状➡︎椎間板ヘルニアなどの神経症状に移行していってしまうケースも少なくありません。

将来かかる可能性がある疾患(将来疾病率)の低下の為にも、しっかりとした考えのもとで行われる施術を受けて未病に防いでいきましょう。

このような症状でお困りの方は、東急東横線馬車道駅徒歩1分・日本大通り駅徒歩8分・JR関内駅徒歩7分・JR桜木町駅徒歩12分にある、当院スパインカイロプラクティック(整体院)にお越しください。誠心誠意対応させていただきます。