
(注:画像はフリー素材です)
2ヶ月前から首の痛みが頻繁に感じられるようになり、徐々に左腕の痺れを伴うようになった。
自宅周辺の整形外科でレントゲンを撮り、「頚椎の5/6番の間が狭くなっている」と伝えられ(この時は診断は受けていない)痛み止めの処方を受けた。
しかし痛みが引かなかったため総合病院を受診し、MRI撮影を行ったところ椎間板ヘルニアの診断を受けた。作用が強いボルタレンを処方されて、当院来院時にも服用しているとのことであった。病院では神経根ブロック注射を勧められたが、首に注射を打つことに抵抗があったためその前に症状が改善できる手段がないか?と検索したところ当院のカイロプラクティックが表示され、試してみようと思い来院した。
【検査内容】
問診:
症状は悪化傾向にあり、最初に首の痛みを感じる様になった2週間後位から左腕の痺れを感じるようになった。痺れは指の先まで感じ、掌全体的に感じている。
首の動きで痺れが強くなり、特に上を向こうとすると左手の痺れが強調される。
朝起きた時に首が特に痛く、枕を変えたりまたは枕を使わずに寝たり、色々試してみたものの変わらない。
処方されたボルタレンを飲んでいると痛みは軽減しているが飲むと胃の調子が悪くなるため、なるだけ服用を控えている。
視診:
問診で話している時の姿勢が丸く、巻き肩・骨盤が寝ている・首が前に出ているといった、典型的な不良姿勢が見られた。(顎を引く動作が症状を悪化させるからであろうと推測した)
スタティックパルペーション(静的触診):
触診上両側の肩〜頚部周辺筋肉の緊張が感じられた。
左肩甲骨周囲の筋肉に過緊張と外側に開いている状態が見受けられた。
モーションパルペーション(動的触診):
首をどの方向に動かしても腕に痺れを感じるが、下を見るような動作で左腕の痺れが特に強く出る。
左腕の動きでは特に症状の誘発は見られない。
オーソペディックス(整形学検査法):
サービカルコンプレッション(+):この検査で首を上から押すと左腕の痺れが増強する。
サービカルディストラクション(+):この検査で首を上に牽引すると左腕の痺れの軽減が見られる。
バレリューテスト(ー):この検査は脳への血流を担っている椎骨動脈障害の検査
ミオトーム:
左肩外転筋(三角筋):3/5=自分で肩を挙げられるが、術者が力を加えるとホールドできない。
デルマトーム:
左親指側(C5〜6)領域の感覚が鈍麻
上記の神経学検査法から頚椎のC5〜6領域での神経伝達反応の低下が見られたため、反射の検査は行わず、施術方針を確定した。
【施術内容】
初回の施術は反応を見ながら慎重に行なった。患部の刺激抵抗が弱く、痺れの強弱が敏感に出るためあまり患部には触れずに腕の痺れのルートである頚部〜肩及び母子にかけての筋群の緩和を行った。
頚部に関しては慎重に施術の方向を考えるため、可動域の検査をした上で牽引すると腕の症状も楽になるという事だったので、圧迫の除去を施術ベースにすることを考え牽引療法を行った。
施術は3日後の来院を提案した。
【施術予後】
2回目(3日後):
仕事後来院し、3日間の状況を確認。施術後は少し(数値化すると6/10)症状が改善している状態であったが翌朝には同じくらいに戻っていた。
施術後に悪化する事はなかったため、頚部に対する施術を行なった。具体的には牽引療法に加え、胸鎖乳突筋と言われる首の前側の筋肉の緩和操作を行なった。
3回目(3日後):
前回同様施術後少し緩和された状態になり来院時には症状が戻っていた。しかし、首の痛みは緩和された状態であった。悪化の兆候は示さなかったため、前回同様の施術を行なった。
4回目(3日後):
施術の効果が徐々に維持できるようになってきたようで、3日後の来院時には首の痛みは軽減され、左腕の痺れに関しても痺れの範囲が狭くなっていた。
このような経過から1週間に間隔を広げた。
5回目(1週間後):
痛みの範囲/強さが少しずつ狭まっており、頚部に対して初めてアジャストメントを行なった。上部頚椎2番とうつ伏せで胸椎の3番に対してアジャストメントを行なった。
施術後少し痺れが出たが、様子を見てもらうことにした。
6回目(1週間後):
前回施術後翌日は痺れが少し強く出たがその後はなくなり、来院時にはだいぶ楽な状態になっていた。
頚部の可動性が改善してきたため、ストレートネックに対しての施術として頚椎モビリゼーション(首の湾曲を作っていく施術法)を行うようにした。
7回目(1週間後):
首の痛みはかなり落ち着き、痺れも軽減されていたので同じ施術をした後2週間に間隔を空けて現在も経過観察中である。
【施術者の見解】
初回は検査に時間をかけたため、施術時間は短かった。ヘルニアの疑いがある場合施術による悪化も容易に起こり得るため慎重に施術計画を立てる必要と、施術の強度を調節する必要がある。
この方の症状は明確に神経痕症状を呈していたため、初回施術は頚部の可動をつける施術は行わず、筋肉などの周囲軟部組織の緩和をメインで行い、今後の施術計画や施術の予後に関する説明に重きを置いた。
椎間板ヘルニアの施術で最も注意するべき事は、施術による炎症反応です。ヘルニア部位に対する直接的なアプローチは禁忌となっており、慎重に行わなければなりません。
スパインカイロプラクティックの理論として、体重(この場合頭の重さ)や動作などの負荷が一点に集中し続けることによってヘルニアを起こすため、上下の背骨や周囲の筋肉の可動性と柔軟性を回復させ、台風の日になびく柳のような状態にする事で負荷の分散を行なっていく事を念頭に置きます。
この方の場合首の位置が前方にスライドしており、頚椎のストレートネック=湾曲減少によって頭部の重さが垂直な圧で椎間板に負担をかけた影響であると考えました。
上記に加え、第5頚椎の左回旋(5番目の頚椎が捩れている)状態があったため第5頚椎にヘルニアを起こしたと考えられる。
頚椎に対するアジャストメントをするまでに5回の施術経過で様子を見たが、上記の理由から悪化させる可能性があったため周囲の組織の緩和から行い、適切な回数を重ねた上だと判断した。
まだ経過観察中であるが、頚椎ヘルニアの疑いがある症状に対し、2週間間隔を空けても大丈夫であろうと判断できたことはスパインカイロプラクティックとして適切な施術方針であったと自信を持てる症例である。
当院では癒しとしてではなく日常生活に直結する筋骨格に由来する様々な症状に対応するカイロプラクティック(整体)を提供しています。馬車道駅徒歩1分・日本大通り駅徒歩8分・JR関内駅徒歩7分・JR桜木町駅徒歩12分にあります。横浜駅から京浜東北線・ブルーライン・みなとみらい線でのアクセスが便利です。
横浜周辺にお住まいお勤めの方で上記症状にお悩みの方は当院スパインカイロプラクティック(整体院)にお越しください。誠心誠意対応させていただきます。